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沈黙

Category : Writing



静かに瞼を開けた。ひどく重たかった。
目前まで迫る闇と、手の届かない空に若干見える黄色。星のようだった。

海の底だろうか。

鋭い寒さともったりとした水に肌が触れて、ふやけている。
息はできる。肺に入っているはずの水は、どこか軽く優しかった。

自分の存在は分からなかった。
そこに自分が存在するのかも分からなかった。
ただ、闇の中にひっそりと、何かが在った。

いつから此処は闇だったのだろうか。
いつから自分は此処にいたのだろうか。
記憶すらも曖昧になり、ひどく悲しくなった。

涙は冷たい水を黄色に染めた。

その黄色は、静かに上へのぼり、星と一緒になった。
自分は上へは行けなかった。
上へ行くための舵がなかった。



ふと、ある瞬間
大きなクジラが前を横切った。
あまりの優雅な流れに、自分は涙を流した。
それはまた星になった。


いつまでも流れる時間に、自分は抵抗することもなく流されていった。
止まっているのではないかと疑うくらい、何もない時間であった。

ただ、いつも同じ間隔でクジラが通るようになった。

クジラは、水色であった。闇に浮く唯一の色だった。
水色が消えた後は、いつも星が近くに在った。
その時ばかりは手が届くかと思うくらい、近くに在った。
ただ、手がなかったので、届かなかった。


この世界には、音が無かった。
水色のクジラが通る時にかすかに感じる、波の揺れこすれる感覚だけであった。


自分はよく泣いた。
動く水色を見る度泣いた。星が近づく度泣いた。
音はなかった。
泣くたびに黄色い涙が上へのぼっていった。


ある時ぱったりと、水色のクジラが通らなくなった。
心が少しだけ憂いと安心を覚えて軽くなった。
身体ごと、軽くなった。
自分は闇に少しずつ溶けていくのを感じた。
おそらくそれが、死であった。


溶けながら、自分は上へとのぼっていた。
ふと下を見ると、闇に一つだけ、水色の点があった。
それは、1ミリたりとも動いてはいなかった。




自分は、黄色のクジラであった。


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